【4/13】西楽寺の平安仏【講座レポート】
- sairakuji
- 4月28日
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4月13日(日)、西楽寺講座「西楽寺の平安仏」が開催されました。講師は浜松市美術館の学芸員で袋井市文化財保護審議会の委員を務める島口直弥氏です。今回の講座では浜松市美術館の展覧会「みほとけのキセキ」(2021年)、「みほとけのキセキⅡ」に出陳された平安時代製作の仏像について、庫裏での講話、薬師堂と本堂での実物を前した作品解説を実施していただきました。
講話では、本堂の阿弥陀如来及び両脇侍坐像(平安時代〈12世紀〉・静岡県指定文化財)、薬師堂の薬師如来坐像(平安時代〈12世紀〉・静岡県指定文化財)と日光・月光菩薩立像(平安時代〈11~12世紀〉)について、その造形的なよさや美しさ、歴史的・文化的な意味、学術的な価値について、遠州地域や全国各地の同時代の作例との比較を交えながら解説がなされました。

薬師堂では、中尊の薬師如来坐像と左右の日光・月光菩薩立像の法量や作風、構造の違いから、この3躯は製作当初の一具ではないことが、実物を前に解説されました。参加者の方々は、いわゆる定朝様式を踏襲し、誇張を抑えた体躯の薬師如来坐像と、一木造りで量感があり、薬師如来坐像よりも100年近く製作時期が遡る日光・月光菩薩立像の造形を比較しながら確認していました。

本堂では、阿弥陀如来及び両脇侍坐像の眼に水晶を嵌入する玉眼の技法が用いられていることが解説されました。島口氏がライトで像の面部を照らすと、眼がキラリと輝いて見え、水晶が嵌入されていることがよく分かりました。玉眼の技法は早いものでは平安時代後期から用いられる例がありますが、多くは鎌倉時代以降の作例だそうです。西楽寺の阿弥陀如来両脇侍坐像が平安時代後期としては先進的な作例であった可能性に触れ、参加者の方々も興味深く見入っていました。
講座当日は生憎の大雨となってしまいましたが、20人を超える方々にご参加頂くことができました。この講座をきっかけに、西楽寺の平安時代の仏像への興味・関心、愛着を高めて頂ければ幸いに存じます。
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